ひとつの命を授かるということは、何よりも喜ばしいことです。しかし医師として働く女性にとっては、職場との調整や将来のキャリアに関する悩みがどっと押し寄せてきて不安を感じやすい時期でもあります。今と同じ職場で働き続けられるかを判断するためにチェックすべきポイントや、育児と両立しやすい働き方について、できれば妊娠前に知っておくことが大切です。
目次
妊娠・出産・育児にまつわる女性医師の現状
子育て中の女性医師の多くが、家庭や子育てに悩みを抱えており、「人手不足で産休・育休が取りづらい」「夫も医師で激務なのでワンオペにならざるを得ない」といった声もよく聞きます。
女性医師が産休・育児休業を取得しづらい理由として、「代務の医師がいない」「職場に取得しづらい雰囲気がある」というもののほかに、「制度が病院内に用意されていない」ということもあるようです。
事前に確認すべき職場のチェックポイント
妊娠してから慌てることのないよう、以下のポイントを確認しておきましょう。
産休・育休制度を実際に活用できるかどうか
法律で認められた権利ですが、入社後1年未満、申し出から1年以内に退職する予定がある、週2日以下の勤務の場合、育児休業は取得できない可能性があります。
また制度自体はあっても、人手不足や前例がないなどの理由で活用できないといわれる場合も考えられるので、実際に活用できるのかもあわせて確認を取っておくことをおすすめします。
先輩ママ医師が働いているかどうか
先に産休・育休を取得した先輩ママ医師がいるなら、職場の理解が進んでいる可能性があります。先輩ママ医師の働き方を見たり、話を聞いたりすることで、子育てと両立しやすい職場環境なのかを見極めることができます。
時短勤務・フレックス勤務は可能か
育児休暇を終えた後の働き方として、時短勤務や柔軟なフレックスタイム制に変更することができるかも確認しておきましょう。
妊娠前や出産前は「産後すぐにフルタイムで復帰しよう!」と考えていても、実際に出産や育児を経験すると思うようにはいかない場合もあります。産後の体調やお子さまの状態も今の時点では読めないものなので、あらゆる可能性を考えておきましょう。
当直やオンコールは免除されるか
子育て中のネックになるのが、当直やオンコールです。子どもがある程度の年齢になるまで、休日の日勤でまかなうことで当直やオンコールは免除してもらえるという職場もあれば、先輩ママ医師たちも当直やオンコールに対応しているという職場もあります。
一定期間免除してもらいたいならその確認を、他の医師と同じように対応していきたいなら、家族などのサポート体制を整えておく必要があります。
院内託児所やベビーシッター斡旋支援制度などがあるか
職場によっては、院内託児所を併設していたり、ベビーシッター斡旋の支援制度があったりすることもあります。多忙な医師の仕事をこなしながら、離れた保育園などに送迎するのはかなり大変なので、こういったものを利用できると仕事復帰もスムーズになります。
利用できる条件や、院内託児所の場合は空きがあるかなどを、しっかり確認しておきましょう。
また、お子さんに熱発などは付き物です。病児保育の有無も忘れず確認をするとよいでしょう。
労働環境を変えるという選択肢も
上記のチェックポイントを確認してみて、出産・育児と両立しにくいと判断した場合は、思い切って労働環境を変えることも必要です。
一番大切なのは、母子ともに健康なこと、子どもが安心して過ごせる環境です。それらを守るための転職や一時的な離職は、必要だといえるでしょう。
転職する際の職場の選び方は上記のチェックポイントと同じですが、加えて以下の点も満たしていると、より子育てと両立しやすくなります。
トップや上層部に、子持ち女性医師がいる職場
職場の制度や雰囲気を左右する上層部に子持ち女性医師がいる職場は、出産・育児に対する理解やサポートが期待できます。
子育て中の女性医師が多く所属する職場
1人や2人ではなく、多くの女性医師が働いている病院は、子育てしながら働きやすい環境が整っていることの証だといえます。一方的にサポートしてもらうだけでなく、お互いにサポートし合えるので、精神的にも気持ちよく働けそうです。
医師の支援に熱心な職場や、その周辺の職場
HPなどで大々的に女性医師の活躍を支援していると謳っている病院はもちろん、その周辺の病院なども狙い目です。子育て支援をしている病院に人材が流れないよう、ある程度しっかりと支援制度を整えている可能性が高いからです。
育児と両立しやすい働き方
周囲のサポートがあれば産後フルタイムでの復帰も不可能ではありませんが、キャリアを上手く積みながら子育てにも注力できる、余裕のある働き方を考えてみるのもおすすめです。
時短勤務・フレックス勤務
上記のチェックポイントにもありましたが、今の職場で時短勤務ができるなら、正社員としてのポジションをキープし、キャリアを中断することのないまま、就労時間を短縮することができます。
育児・介護休業法によって1日の労働時間は原則6時間、子どもが3歳未満とされていますが、職場によって規定はさまざま。週3日を時短勤務、週2日をフルタイムにする、午前のみもしくは午後のみの1日4時間勤務にする、始業時間や終業時間の繰り上げ・繰り下げができるフレックスな勤務形態にするなども可能な場合があります。
配偶者も医師の場合は、ふたりの勤務時間をうまく調整して、時間をやりくりできるとベストです。
アルバイト・フリーランス
子どもの成長や自分の体調に合わせて、好きな時間で働けるのがアルバイト医師やフリーランス医師の最大の魅力です。当直やオンコール、残業もなく、時短勤務やフレックスタイムよりも柔軟で自由な働き方ができます。医師アルバイトの時給は相場10,000円と割りがいいので、家計の助けにもなるでしょう。
またアルバイト・フリーランス医師はほぼ毎回違う職場に行くことになります。人脈が広がり、さまざまな職場の雰囲気を知ることができるので、いざ正社員として再就職しようと考えたときに、よりよい職場を選択できることでしょう。
キャリアという意味でも、職場ごとにさまざまな経験を積むことができますし、ブランクなく働き続けることは、女性医師にとって大きなメリットです。
まとめ
・多くの女性医師が家庭や子育てに不安を抱えています。
・妊娠・出産をする前に、今の職場で産休・育休制度を実際に活用できるかどうか、先輩ママ医師が働いているかどうか、フレックス・時短勤務は可能か、当直やオンコールは免除されるか、院内託児所やベビーシッター斡旋支援制度などがあるかなどをチェックしておきましょう。
・出産・育児に合わせて労働環境を変えるのもひとつの方法です。
・時短勤務やフレックス勤務を活用したり、アルバイトやフリーランスとなったりする働き方も検討してみましょう。
大きなライフイベントである出産・育児とキャリアを両立するには、転職や働き方の調整も視野に入れる必要があります。「キャディカル医師.転職」のキャリアアドバイザーが、出産・育児と両立できる働き方を一緒に模索し、サポートしていきます。
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