今回、名鉄線の「碧南中央駅」前にある「へきなん中央クリニック」を特集させていただきます。クリニック院長の神谷圭亮先生にお話をお伺い致しました。
へきなん中央クリニック
場所 | 〒447-0877 愛知県碧南市栄町1-21 |
開業年月 | 2021年9月 |
診療科目 | 一般内科、腎臓内科、糖尿病内科、小児科 |
院長 | 神谷 圭亮 先生 |
WEB | https://hekinan-c-clinic.jp |
自分がやりたいことをより多くの地域に届けたい、
だから組織を大きくしたい。
院長 神谷 圭亮 先生
<ご経歴>
愛知県碧南市出身
愛知県立刈谷高等学校 卒業
藤田保健衛生大学 医学部医学科 卒業
刈谷豊田総合病院 初期研修
刈谷豊田総合病院 総合内科 医員
刈谷豊田総合病院 腎・膠原病内科 医員
豊田地域医療センター 総合診療科 医員
半田中央病院 総合診療科 在宅医療センター管理者
<資格>
日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医
日本腎臓学会 腎臓専門医
日本透析医学会 透析専門医
プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
日本専門医機構総合診療専門研修特認指導医
難病指定医
目次
1.なぜ、在宅医を目指されたのでしょうか?
在学中から町医者になるゴールを持っていました。総合診療科に転科して豊田地域医療センターを拠点に実際に在宅医療をして「やっぱりいいな」と思いました。
また、自分自身が「自分の家で最後亡くなりたい」と考えていました。でも急性期病院で働いていると自宅での看取りが難しいことを感じました。患者さんがご家族やご友人の方々と「自分らしくお家で過ごせる」そんな環境があったらいいなと思い、在宅医療に携わっています。
例えば、腎臓内科では透析の患者さんの場合、通院ができなくなった腹膜透析の方をHD(血液透析)に切り替えて通院を始めることも多いのですが、多くの困難があります。「家で誰かが診てくれたらいいのに」と思うことや、血液透析もできなくなってしまった患者さんが病院に運ばれて来られた時に最後の治療(透析)の実施もできない時に残りの大切な時間を「自分の家で過ごせたらいいのに」と思うことがありました。腎不全などで在宅医療の対応をクリニックなどに断られてしまう患者さんもいらしたため、それならば自分の腎臓内科という専門性を活かした在宅医療ができるのではないかと思いました。総合的なことも、これまで培ってきた専門的な知識も在宅医療に役立っています。
2. クリニックのご自慢は何でしょうか?
①スタッフ
一緒に働くスタッフです。患者さん思いのスタッフが多く、患者さんのお誕生日を一緒にお祝いしたりとこのクリニックらしさを共に作ってくれる大切な仲間です。また、一緒に働いているスタッフは若い世代の方が中心です。業務効率化のためにPCやスマホのデバイスを利用したコミュニケーションツールを積極的に用いておりますが、スタッフの方も意欲的に参加しており、円滑なクリニックの運営に繋がっています。
また、以前に一緒に働いていた頼もしいスタッフも仲間に加わっているため、理念・方針などもしっかり共有できているため、職員教育も安心して任せられています。
②建物
クリニックがある碧南市は人が集まりにくいエリアですので、みんなが「来たい」と思えるような建物にと、ハード面もこだわりました。患者さんやクリニックにお越しいただく方々だけでなく、一緒に働く人を意識して2階もこだわりを持ったデザイン・機能性になっています。
また、2021年9月コロナ渦の中での開業となったため、発熱外来(感染症対策)などの導線も考えた設計となっており、安心・安全な診療ができるような環境です。
③検査機器
CTや骨密度測定器も設置しています。CTは市内でも内科のクリニックで1台しかありませんし、骨密度測定器も整形外科で1か所しか置いてありません。腎臓専門だと骨粗鬆症の患者さんと多く出会うため、また検査機器も置いてにあるところが少ないので、置くメリットがあると思いました。
3. 在宅医療の醍醐味は何でしょうか?
病院は患者さんが自分の生活圏内から出て、治療のために生活を送っています。在宅医療は生活を成り立たせることが主となり、患者さんの生活とか人生にしっかり寄り添い、エビデンスベースだけではなくナラティブベースを考えることも必要になります。大学病院などの医療施設ですとだいたい5分以内に全部対応をしなければなりませんが、在宅ですとゆっくりお話をしながらお一人の患者さんに向き合う時間がとれるところが良いと思います。安定しいている方でも少なくとも10分~15分は患者さんとの時間を持つことができます。がん末期の方や、治療方針を決定する必要がある時などは30分~1時間くらいの時間をかけてゆっくりとお話をすることもあります。全人的な医療を提供することが、家庭医療を学んだ私自身の得意領域であり、それを存分に発揮できる場所がこの在宅医療だと思っています。
4. 開業後に気づいた勤務医と違う点
良い点としては、自分がやりたいことがやりたいようにできることです。仕組みづくりを含めて、自分がやりたいために周りへこうして欲しいと伝えて実践できています。
大変な点としては、責任が増えるため、診療以外の外部の業者とのやとりとりや人事労務管理などの業務も増えることです。
5. (将来)一緒に働く仲間の先生に向けてのメッセージ
勤務医で在宅医療に従事している先生は自分で開業してみたいというマインドを持って経験を積みたいタイプの先生や、大病院などの激務でお疲れになってしまったタイプの先生が多いように思います。
在宅医療は安定した給与の確保や自分の時間が欲しいという先生にお勧めしたい働き方です。
現在、お看取りは月15名程度です。夜間のオンコールは波がありますが、月に10~20回程度あります。夜間いつ呼ばれるかわからないオンコールの不安を和らげるために訪問看護師がファーストコールを受けてくれています。患者さんをきちんと把握してくれる訪問看護スタッフがいることは大変心強いです。(置き薬の活用などで患者さんの不安を少しでも解消するような努力をしてくれています。)医師が医師業務に専念できる環境作りに訪問看護の存在は欠かせません。日中の訪問時の対応の工夫や訪問看護のトリアージ存在でオンコールも毎日呼ばれるわけではありません。ただやはり継続的な医療で提供していくかが責務ですから、負担なく勤務いただけるシステムを構築しています。同行看護師が運転、診療補助を行いますので診療に集中していただけます。
1拠点で対応できる患者さんの数は医師3~4名体制で300名程度が限界と思っています。現在はお陰様で患者さんが150名程度へと増えてきております。近隣の基幹病院に足繫く通い、病診連携も良好です。良い関係性を構築できているため、病院からの依頼を多くいただけます。私は前の勤務先から「依頼を断らない」ことをポリシーとして参りました。時には大変なご依頼もありますが、それでも断らないことを継続しているため、開業1年で多くの患者さんへ寄り添うことができています。
一緒に働く先生へは経営者と同じ様な働き方をして欲しいと思っていません。日中にしっかり患者さんやそのご家族の方々と診療を通して向き合っていただき、週1回のオンコール対応にご協力いただければと考えております。働き方は柔軟に働く先生と一緒に考えていきます。
私たちの在宅医療はライフワークバランスにを大事にできてかつやりがいのあります。病院よりも患者さんと過ごす時間が自ずと長くなるケースが多いので、患者さんから感謝される機会が多いのも魅力の一つです。この感謝いただけることが医師としてのやりがいに繋がっています。
医師になって10年、専門医を取ってこれからどうしようかと悩む時期が私もありました。「町医者になる」とのゴールがありましたが、腎臓内科としてやってきた専門性を在宅医療ではできなくなることに最初は抵抗がありました。ただその思いは本当に最初だけでした。今はできなくなることよりもできることの方が多くなりました。
在宅医療を未経験の先生や経験が浅い先生でも、常勤・非常勤を問わずに帯同して業務に慣れていただくOJT研修を実施しますので安心してご勤務いただけます。
私が家で家族と過ごすことが好きです。そのため、一緒に働く先生もオンオフのメリハリをつけて長くご勤務して欲しいと思います。
私自身のクリニック運営のモチベーションは「最終的にグループ診療体制にして、自分がやりたいこともできるし、しかっり休むことができる環境にしたい。自分がやりたいことをより多くの地域に届けたい、だから組織を大きくしたい。」と思っています。ですから、是非私たちの仲間に新たに加わっていただける先生を探しています。