2025年問題は目前に。「地域医療」推進の背景と医師の役割

超高齢化社会と少子化問題に直面する日本。2022年9月現在の総務省統計局のデータによると、総人口は前年比82万減ですが、65歳以上の高齢者人口はおよそ3,627万人にのぼります。これは過去最多の数字であり、実に日本の総人口の29.1%を高齢者が占める計算となります。

高齢化と同時に少子化が進んでいるのも周知の通りで、「地域医療」の重要性がさらに高まっています。「地域医療」推進の背景、実際に地域医療に従事する医師の役割についてご紹介します。

地域医療とは

地域医療とは病院等、特定の医療機関のみならず、地域全体で住民の健康を守る医療体制をさします。厚生労働省による「地域医療構想」では次のように記載されています。

(引用ここから)

・今後の人口減少・高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少を見据え、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するためには、医療機関の機能分化・連携を進めていく必要。
・こうした観点から、各地域における2025年の医療需要と病床の必要量について、医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに推計し、「地域医療構想」として策定。
そのうえで、各李邕機関の足下の状況と今後の方向性を「病床機能報告」により「見える化」しつつ、各構想区域に設置された「地域医療構想調整会議」において、病床の機能分化・連携に向けた協議を実施。

(引用ここまで)

地域医療が推進される背景

厚生労働省の「地域医療構想」からもわかるとおり、日本の少子高齢化が地域医療推進の主たる理由です。地域医療では、医師や医療従事者が中心メンバーとなって、住民の病気やケガの治療およびケアを実施します。さらに疾病予防や健康維持、高齢者や障害者への支援、妊婦に対する保健指導や相談の対応、子育て支援まで幅広いものとなっています。

特定の医療機関が単独で活動するのではなく、複数の医療機関や行政などが連携する点が大きな特徴です。

さて、2025年が来年に迫っています。厚生労働省が「2025年の超高齢化社会像」といって課題を提示していることをご存知の方も多いのではないでしょうか。ベビーブームに誕生した団塊世代は2015年に前期高齢者(65~74歳)に到達しました。その10年後にあたる2025年は高齢化に至る速度に加え、高齢者数そのものの増加が見込まれています。さらに、認知症高齢者は2025年に約320万人になると推計されており、逆に働く世代が占める割合は低くなります。
少子高齢化を象徴とする人口構造の変化は、地域医療に少なからず影響を与えます。各自治体は効率的な医療提供体制を整えるために「地域医療構想」を策定し、将来起こりうる医療ニーズの質や量の変化に対応し、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築しています。

地域医療に携わる医師の役割

地域医療に携わる医師の役割


地域医療において医師は、次のような役割を担います。

1)患者さまとじっくり向き合う医療の提供

大型病院では大勢の患者さまを短時間診察することが多いのに対し、地域医療は患者さま一人ひとりと向き合うのが特徴です。症状や病歴のみならず、暮らしや人となりに触れることもあり、それらを総合的に鑑みながら最適な医療を提供します。

また、病気を防ぐことにも重きを置き、地域住民の健康に関する悩みなどにも耳を傾けることも、地域医療に携わる医師の役割です。

2)プライマリ・ケアの提供

あらゆる症状を診察し、患者さまからの相談に乗る医師が提供する医療を「プライマリ・ケア」と呼んでいます。診察によって総合的に判断し、状態の把握や処置、治療にあたります。必要に応じて専門医に紹介します。

プライマリ・ケアを行う医師には、あらゆる疾患について幅広い知識と対応が求められます。特に地域医療では不可欠なスキルであるといえるでしょう。

3)高齢者医療や在宅医療の提供

高齢化社会において需要が高まる在宅医療に携わることで地域社会に貢献します。

「地域医療構想」では、地域における医療提供体制の効率化や効果を重視しています。したがって、病床の分化を推進し、患者さまの自宅を受け入れ先にする取組は在宅医療の役割を強化します。また、通院が難しい高齢の患者さまにとって、地域に根付いた医師の存在は心の拠り所になることが期待されます。

このように、地域医療に携わる医師はさまざまな役割をもっています。患者さまに寄り添う医療を提供したい医師にはふさわしい仕事ではないでしょうか。

また、医師不足に悩む地域では、医師の採用確保に熱心です。医師側も給与面や「当直なし」「時短勤務」といった労働条件の交渉が比較的通りやすい利点もあります。地域医療で貢献しながら、自身の働きがい、ワークライフバランスの充実まで期待できそうです。

まとめ

・厚生労働省が示した「2025年の超高齢化社会像」が来年に迫っています。

・厚生労働省の「地域医療構想」や「在宅医療」の推進により、地域医療の注目度が高まっています。

・医師不足が問題になっている地域を中心に、地域医療で働く医師への給与や労働条件は有利なことが多いため、患者に寄り添った医療を提供したい医師から特に注目されています。

まとめ


日本の少子高齢化を見据えた「地域医療構想」ならびに「在宅医療」が厚生労働省主導で進められています。在宅医療は一人ひとりの患者さまと向き合い、家族ともコミュニケーションをとるなど、医師としてのやりがいや貢献度の高さが伺えます。地域医療に興味をもつ医師の方は、「キャディカル医師.転職」にご一報ください。

また、転職に関することでお困りのことがありましたら弊社お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください!

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