ますます高まる在宅医療の重要性。超高齢社会を支える医師の役割とは

かつて、お年寄りの最期といえば「自宅の畳の上で子や孫らに看取られながら迎える」という時代がありました。核家族化が進み、医療技術も進歩したことから、病院で最期を迎えるのが一般的になり、その常識が再び変わろうとしています。

超高齢社会を背景に、国が推進する在宅医療と、在宅医療に携わる医師の役割を紹介します。

在宅医療が重視される理由

厚生労働省の「在宅医療・介護の推進について」の資料には、在宅医療・介護推進プロジェクトチームが「できる限り、住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す」を掲げています。

2025年には65歳以上の高齢者数3,657万人になると推計されており、さらに世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯の増加が見込まれています。「国民の60%以上が自宅での療養を望んでいる」というデータもあることから、在宅医療がますます重要視されています。
参考:厚生労働省「在宅医療・介護の推進について」

「在宅医療」と「訪問診療」と「往診」

在宅医療に携わる医師の役割の話を始める前に、混同されがちな「在宅医療」「訪問診療」「往診」について説明します。

「在宅医療」

自宅等で受ける医療の総称です。後で説明する「訪問診療」や「往診」も在宅医療に含まれます。

在宅医療は、病院や診療所への通院が困難になった場合と、病状の進行等で入院し、退院後に自宅で医療を受ける場合に受けられます。自宅以外の高齢者住宅等の住まいも対象になります。

「訪問診療」

「在宅医療」で受けられるサービスのひとつで、通院が困難な方の自宅や介護施設等に医師が訪問し、診療を行うことをさします。診療は患者さまと医療機関で契約をし、計画的・定期的に実施されます。

「往診」

「訪問診療」が計画的・定期的であるのに対し、往診は急変の際に不定期に医師が訪問し、診療を行うことをさします。訪問診療を行うかかりつけの医師が緊急時には往診で対応するといったケースが多く見られます。

多岐にわたる在宅医療

「在宅医療」は医師による診療のみならず、さまざまな医療従事者が携わるのが特徴です。

医療サービスとそれに携わる医療従事者は次の通りです。

・「訪問歯科診療」「訪問歯科衛生指導」:歯科医師、歯科衛生士

・「訪問看護」:看護師等

・「訪問薬剤管理」:薬剤師

・「訪問によるリハビリテーション」:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

・「訪問栄養食事指導」:管理栄養士

上記のうち、「訪問看護」、「訪問薬剤管理」、「訪問によるリハビリテーション」、「訪問栄養食事指導」は、本人の状態に応じて医師が適切なサービスを受けられるように指示を行うことで実施されます。

在宅医療1

参考:厚生労働省「「在宅医療をご存知ですか?」リーフレット[PPT形式:96KB]」

在宅医療に携わる医師の役割

先述の「多岐にわたる在宅医療」からわかるとおり、「在宅医療」とは医師を中心に各医療の専門知識をもつ医療職が互いに連携して行われるのが特徴です。

また、自身の専門分野以外の広い医療知識やスキル、判断力が求められます。具体的には内科的疾患、皮膚疾患、外傷などの外科的処置、高齢者に多く見られる認知症、がんなどを患っている場合は緩和ケアについても対応が必要です。そして、必要に応じて看護師、理学療法士、薬剤師、介護士、ケアマネジャーなどそれぞれの専門職種の人と密に連携を取ることが多くあり、医師はその中心的存在でもあるため、指示や調整役を担います。

在宅医療の大きな特徴として患者さまが普段過ごしているところで行うことが挙げられます。当然ながら病院にある検査機器などはない環境で、患者さまやご家族とコミュニケーションから症状を把握することもあります。在宅医療の訪問先が高齢者住宅等の場合は、一度の訪問で複数の患者さまを診ることになります。

在宅医療と病院勤務の両立

在宅医療に携わる医師の働き方を見ると、通常はクリニック等で勤務しているケースが大半です。在宅医療に関心のある医師の中には「始終、オンコール対応に追われるのでは」と不安になる人がいるかもしれませんが、クリニックによっては日勤と夜勤で常勤医師と非常勤医師が役割分担するなど、医師の勤務の負担軽減に配慮される動きが見られます。

また、フルタイムではなく週4日、時短といった柔軟な勤務形態をとるクリニックもあるため、育児中の医師、ワークライフバランス重視の医師から注目を集めています。

在宅医療に関心のある医師は、「在宅医療専門医」の資格取得もおすすめします。

まとめ

・超高齢社会の日本では、在宅医療の重要性が高まっています。

・厚生労働省による「住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す」方針と、高齢者自身が最期を自宅で迎えたいという思いは目的が一致しており、在宅医療は医師からも注目を集めています。

・在宅医療は医師を中心に、看護師、薬剤師、ケアマネジャーなど各専門の医療住職が連携しながら行われます。

・時短勤務やクリニック勤務との両立など、在宅医療はワークライフバランスの点からも医師が関心をもっています。

まとめ


患者さまにとって年齢や病気によって通院は困難なものです。厚生労働省が推進する「在宅医療」は、患者さまの通院の負担が減る、普段過ごしているところで診療を受けられるなど多くのメリットがあります。医師の方もニーズに対する貢献度の高さややりがいをはじめ、クリニック勤務との両立、時短勤務といった自分らしい働き方の選択肢のひとつとして在宅医療に注目しています。

一人ひとりの患者さまとそのご家族と向き合う在宅医療に興味のある医師は、「キャディカル医師.転職」にご連絡を。良い転職ができるよう、サポートいたします。

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