医師のLEXIKO ~MOSストレッチング①~

1.MOSストレッチングをご存知ですか?

 現在、メディアでも話題になっている石川県発の「MOSストレッチング」をご存知でしょうか。
 MOSストレッチング
(Medically Observed Specialist Stretching)とは、「医学的に観察・監修された専門家によるストレッチング」で、医師理学療法士柔道整復師スポーツトレーナーの4種のエキスパートが開発した日本初のパートナーストレッチプログラムです。
  医療業界で多職種連携の重要性が叫ばれる中で、率先して各専門分野の知恵や技術を集約し、チームとして新しいストレッチを誕生した「MOSストレッチング」を株式会社MCSでは注目をしております。
 今回は、その「MOSストレッチング」について取材させていただきました。

MOSストレッチングの特徴とは、一般的に行われるスターティック(静的)ストレッチに加え、筋に対して圧や筋膜リリース、モビライゼーション(可動)、バイブレーション(振動)等を行い、筋膜・手技の流れ(アナトミー・連動性)を考慮しながら、筋の起始部・停止部を3次元的に伸長させ、ストレッチ効果を最大限に発揮させるようにプログラムされていることです。
 そこにトリガーポイントを狙ったアプローチを加え、更に様々な種類の手技を業種の垣根を越えて織りまぜた新しい形のハイブリッドストレッチングです。
一般社団法人MOSストレッチング協会

2.プロジェクトの主要メンバーのご紹介

村上 英樹教授

医師(整形外科)

MOSストレッチング協会 理事長
名古屋市立大学整形外科 主任教授






大崎 敏昭氏

パーソナルトレーナー

株式会社パーソナルリンク 代表取締役







坂田 浩之氏

柔道整復師

さかた接骨院 院長






3.MOSストレッチングの開発の契機

 パーソナルトレーナーの大崎さんにMOSストレッチングの開発に至る契機をお伺いさせていただきました。

 2020年頃からコロナ感染症拡大で、パーソナルトレーニングジムをはじめ、フィットネス業界は大きな打撃を受けました。私自身のジムの売り上げもコロナ前に比べると約40%減と大幅に落ち込みました。ジムではオンラインレッスンや物販などに力を入れる等、対面のレッスン以外の様々な形で売り上げの回復を試みましたが、大きな売り上げ回復に繋がる打開策とはならず、辛く苦しい日々を過ごしていました。
 毎日、毎日「自分にはトレーニング指導以外に何ができるのだろうか?」と色々な事を考え悩んでいた時に、前職の予防介護施設で利用者様から言われた言葉をふと思い出しました。
 その利用者様は、脳梗塞による後遺症で左半身が麻痺しており、上肢の痙縮や拘縮が酷く、週3回は麻痺側のストレッチを私が担当して行っておりました。ある日、ストレッチ中にその利用者様が私に号泣しながら、「わたしの体をほぐし、伸ばしてもらって、体の拘縮の進行はある程度抑えられるが、感覚がもう戻りません。脳梗塞になる前に大崎さんにお会いして、体のケアの重要性を教わっていれば、このような自分の状態にはならなかったかもしれません。大崎さんはこれからわたしのような回復の見込みの低い人を相手にするのではなく、わたしのような状態になる人を作らないような仕事に力を注ぐべきです。」とお話をいただいた事を思い出しました。
 この利用者様の言葉がきっかけとなり、思い切って独立した頃の私の熱い思いが蘇り、もう一度、ストレッチに対して真摯に向き合い、多くの人が体のケアに関心を持っていただけるような活動を並行して行っていこうと決意しました。
 トレーニングは意欲を持った限られた層の方々にしかご提供できませんが、ストレッチは子どもから高齢者、障害者や介護が必要な方などの幅広い方々に提供が可能です。運動したくてもできない人や日頃から運動習慣のない方でも、受動的に施術を受けることにより体を動かしていただくことができます。また、移動式の簡易ベットがあれば、どこでも施術可能であることから、巣ごもりの方にも出張施術ができると考えたこともきっかけの一つになりました。
 ストレッチ普及を行うのであれば、効果やクオリティーの高いストレッチの手技を確立したいと思い、医師をはじめとする多職種の理学療法士や柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師、カイロプラクター等の国家資格者やプロの施術家から徹底的にアドバイスをいただきながら開発が始まりました。

MOSストレッチング②>>

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