株式会社パーソナルリンクの代表取締役であり、MOSストレッチングの開発者のメンバーでもあるパーソナルトレーナーの大崎さんにお伺いしました。
4.MOSストレッチングプロジェクトの歴史
私は今までアスリート(プロ・オリンピックや国体選手など)や介護現場でストレッチを実践してきました。コロナ渦で経営を考える中、私が施術してきたストレッチを国家資格を保有する治療家に受けていただいたら、手技や効果をどう感じ考えていただけるのだろうかとの疑問がわきました。そこで、高校の後輩で長い付き合いのある坂田院長(柔道整復師)の経営する「さかた接骨院」を訪ね、私のストレッチを実際に受けていただいたのがこのプロジェクトの始まりでした。
予てよりストレッチに興味を持っていただいた坂田院長に共感いただき、その日を境に仕事が終わった後に毎晩遅くまで半年間ほど、二人で手技の確認や施術の練習などを続けて、新しいストレッチのプログラムの基礎が固まり始めました。この後から、私たち二人のストレッチ技術のレベルを測るため、様々なストレッチ専門店やタイ古式マッサージ店などの多くのお店で施術を受けました。施術を受けながら二人の手技を見つめ直し改良を重ねていく日々でした。
ある時、他のお店で施術を受けた後に坂田院長が名古屋市立大学整形外科の村上教授に連絡をとり、二人で考案・改良してきたストレッチを受けて欲しいと依頼しました。村上教授と坂田院長は以前に同じ病院で働き、長い間の交流もあったため、唐突なお願いであったにも関わらず、ストレッチを受けていただくことを村上教授に快諾していただきました。村上教授にタイトなスケジュールの中でストレッチを受けていただき、施術中は痛みを訴えられていたものの、施術後は体の軽さを感じるとのご感想をいただきました。施術の翌日、村上教授より私に「ゴルフのスコアが20打縮まりました」との連絡をいただきました。
実際にストレッチを受け、体の変化を感じていただいた村上教授にも二人で考案していたストレッチを監修していただけることになり、村上教授の下で働いていた大学病院の理学療法士もこのプロジェクトに加わりました。医師や理学療法士の参画以降、村上教授の助言をいただきながら、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、カイロプラクターなど様々な職種の方にこのストレッチを受けていただきました。そのアドバイスを参考にして、新たに加わった理学療法士とともに1年程、試行錯誤を繰り返しながら、ストレッチプログラムの手技などの改良を重ね、今日にお届けしているMOSストレッチングのスタイルが確立しました。
5.ストレッチについて
ストレッチについてお話をする前段階として筋肉についてお話させていただきます。人間は206本の骨と約600以上ある筋肉の連動で動作し、日常生活を送ることができます。動く(ものを見る、聞く、食べるなど)ために、また生命を維持する(心臓から体中に血液を送る、呼吸をする、、消化する、排泄することなど)ためにも筋肉が必要になります。現在、体や頭、歯、爪、その他の色々な部分を日常的にケアする習慣を持っている方は多いですが、重要不可欠な筋肉(筋)のケアに対して関心を持っている方が多いとは言えません。
実は、筋肉は縮むことしかできないため、能動的もしくは受動的(他動的もしくは自動的)に筋肉を伸ばさないと委縮していく一方です。萎縮することは、言い換えれば筋の柔軟性が低下していくことです。筋肉が縮むと血管が圧迫され、筋肉中の血液の流れが悪くなることで体に必要な酸素や栄養分が廻りづらくなり、同時に疲労物質や老廃物は代謝されにくくなります。その結果、冷え性や浮腫み、肩こり、首こり、腰痛などの不調が慢性化しやすい体となり、疲れが取れにくい、老化が進みやすいなどの自覚症状に繋がると考えられます。また、血流の悪化は、基礎代謝を低下させるため、エネルギー消費の効率が悪くなる原因となります。つまり、筋肉の柔軟性を失うことは、体へ多くのリスクを招いてしまうことになります。
現代、運動やスポーツの重要性が広がり普及していく一方で、運動やスポーツによる怪我や体の故障が増加しています。中高齢者は加齢における柔軟性の低下が運動時の転倒など招き怪我への一因として考えられます。また、子供のスポーツ障害には柔軟性の低下による過労性障害が問題となっています。この様な問題を解決するためには体の柔軟性の向上が必要であり、その一手段としてストレッチがあります。
①筋肉、腱、靭帯などの障害を防止する。
②筋肉痛、筋肉疲労を緩和する。
③筋肉の緊張を和らげ、リラックスをさせる。
④関節の可動域を向上させる。
⑤筋肉圧を変化させることで筋肉のポンプ作用が働き、血圧循環が良くなる。
⑥神経ー筋肉の働きが良くなり、激しい運動や速い運動にも体が反応しやすくなる。
6.MOSストレッチングの対象者について教えてください。
MOSストレッチングは筋やストレッチの重要性を色々な方に理解して欲しい思いがあるため、幅広い年齢層(老若男女を問わず)の方を対象として開発致しました。一般の方、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みをお持ちの方、スポーツを続けるために体をメンテナンスしたい方、そして怪我や病気後のリハビリテーションの一環として導入したい方も対象としています。
MOSストレッチングの手技は医師、理学療法士、柔道整復師、スポーツトレーナーといった多種職で協力して作成したため、怪我や病気を罹患している、または罹患した既往のある方にも医学的リスク管理行った上で施術を行える可能性があることが特徴です。
7.身体の目安のメンテナンス期間を教えてください。
ストレッチの効果は1週間程度あると言われ、体の回復は48時間から72時間が目安とされています。通常、柔軟性の改善やメンテナンス目的で施術を希望される方に対してはまずは週2回のスタートからが適切であるとお勧めしています。 そして短い間隔で最低でも3回くらいは続けて受けて頂けるようお願いをしています。
初めて受ける方は、少なからず痛みを伴います。まずはストレッチで体を伸ばす事に慣れていただく必要があります。ビールやコーヒーが最初は苦いと感じるように、ストレッチも慣れるまでは苦痛に感じられる方も少なからずいるからです。
また、痛みなどの症状の改善を目的とする場合は、改善に要する期間は対象者により様々なため一概に期間を設定することは難しいと思われます。1回の施術で満足される方もいれば、痛みがなくなったあとも痛みの予防、メンテナンスのために継続して受けられる方もいます。
効果を実感するまでにはこちらも数回の施術を受けていただくことをお勧めします。